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華麗なるロシア王朝の秘宝。デマントイド ガーネットとは?

華麗なるロシア王朝の秘宝。デマントイド ガーネットとは?

ガーネットの中で最も評価が高く、その輝きやグリーンの色合いで世界中のセレブを魅了するデマントイド ガーネット。
ロシアのウラル山脈で発見され、華麗なるロシア最後の王朝ロマノフ朝の王侯貴族たちが御用達にしたと言う歴史を持ちます。
王朝滅亡後は長らくジュエリー市場から姿を消していましが、近年再びロシアを中心に採掘が始まっており、需要が一段と高まってきました。

そんなデマントイド ガーネットですから、多くのジュエリー専門買取店は積極的にお買取りをしております。しかしながらどこででも大量に産出されるものではなく、むしろかなり稀少な宝石。需要に供給が全く追い付いていない経緯から、高値で売れる石としても名を馳せています。
この記事では、デマントイド ガーネットとはどのような石か。買取相場や買取時の査定ポイントについてご紹介いたします。

華麗なるロシア王朝の秘宝。デマントイド ガーネットとは?

1. デマントイド ガーネットとは?

① DATA

鉱物名:ガーネット/アンドラダイト
和名:灰鉄ざくろ石
色:緑、黄緑、淡黄緑
モース硬度:6.5-7
劈開:なし
原産国:ロシア、ナミビア、マダガスカルなど
宝石言葉:友愛、真実、勝利

② 歴史

「ガーネット」と聞くと、深いワインレッドのような石を思い浮かべるかもしれません。しかしながらガーネットは単一の鉱物名ではなく、似た構造を持つ鉱物群の総称となります。
そのため厳密な化学組成はそれぞれの種類で異なり、ブルー以外の様々な色合いのガーネットが世界中には存在します。
そんなガーネットの中で最も高く評価されているのが今回ご紹介するデマントイド ガーネットです。
デマントイド ガーネットは緑または黄緑色に発色した石が、キラキラと輝きを放つ大変な美しさを有するものです。
その見た目の美しさもさることながら、デマントイド ガーネットが辿ってきた歴史もまた、この石を特別な存在に押し上げています。

ガーネット自体は紀元前3000年にさかのぼる頃からジュエリーとして愛用されていました。
しかしながらデマントイド ガーネットが発見されたのは1853年頃です。ロシアの中央ウラル山脈に位置する村で、ある鉱夫が濃いグリーンに輝くガーネットを発見しました。
ウラル地方で見つかったことから、ウラリアンエメラルドなどと言われたこともありましたが、デマントイドという名前が定着します。これは、オランダ語に由来するDemant「ダイヤモンド」から派生した言葉で、「ダイヤモンドのように美しいガーネット」と言う意味が込められたものです。
その後中央ウラル山脈を中心に、いくつかのデマントイド ガーネットの鉱脈も見つかりました。

デマントイド ガーネットは、その名の通りダイヤモンドと遜色ない、あるいはそれ以上の強い輝きを持つ宝石です。そのため、ガーネットの王様としてロシア国内で貴重な石として扱われるようになります。

特にロシアの宮廷では、王侯貴族たちがデマントイド ガーネットに夢中になりました。
時はロマノフ朝時代。当王室は、世界中の絢爛豪華なジュエリーを所有していたことでも有名ですね。そんな美しきものに目がない王族たちは、デマントイド ガーネットに魅了され、宝飾品や調度にこの石をあしらって愛でました。

ちなみに、人気映画の題材にもなったインペリアル・イースター・エッグを制作したピーター・カール・ファベルジェ氏がデマントイド ガーネットのジュエリーを手掛けたことも、流行の大きな要因となったようです。
1900年代にはヨーロッパの貴族たちにも愛されるようになり、1900年のパリ万博では「最先端ジュエリー」として、デマントイド ガーネットをあしらったアイリスブローチでグランプリを受賞しています。

しかしながら1917年にロシア革命が起き、ロマノフ朝は滅びます。
ソビエト連邦が成立すると共産主義体制が敷かれ、華美嗜好品に対して厳しい目が向けられるようになります。そういう時代背景もあり、デマントイド ガーネットの採掘は途絶え、アンティーク市場を除いてジュエリー界ではあまり日の目を見なくなりました。このことから、「幻の宝石」といった異名を持つようにもなります。

とは言え、1970年代~1990年代頃にかけても、ほそぼそとは発見されていたようです。
このデマントイド ガーネットの採掘に転機が訪れます。
2002年、Sissertskという地域の再開発が始まったことがきっかけでデマントイド ガーネットが発見され、再び採掘が始まったのです。

「ロシア・ロマノフ王朝御用達であった」といったストーリーも、デマントイド ガーネットのインパクトの一つとなりました。
1996年ではアフリカのナミビアでもデマントイド ガーネットが採掘されます。当鉱山は、「グリーンドラゴン」と現地で呼ばれています。

また、2009年にはマダガスカル。その後もイタリアや南西アフリカなどで産出が確認されました。
ただ、ここ数年でデマントイド ガーネットの産出量が著しく落ちています。

特に美しく鮮やかな緑を発色する個体が少なく、もともと高かった稀少性がさらに上がることに。そのため特にロシア産のデマントイド ガーネットは、評価も高いですが実際の価格も非常に高額に取引されています。

華麗なるロシア王朝の秘宝。デマントイド ガーネットとは?

③ 特徴

冒頭でもご紹介したように、「ガーネット」はある鉱物グループを指した言葉です。似たような化学組成を持ったケイ酸塩鉱物を総称します。
このグループは、含まれる成分によって大きく六つの系統に分類することができます。それは、最もよく見られる「バイロープ」、次いでよくある「アルマンディン」、「グロッシュラー」「スぺサルティン」「アンドラダイト」「ウバロバイト」です。
デマントイド ガーネットは、この中のアンドラダイトに分類されます。
なお、アンドラダイトの中には貴重なガーネットがいくつか存在しますが、デマントイドは随一。むしろ、ガーネットの中で最も貴重かつ稀少、非常に高価と言っていいでしょう。

アンドラダイトは鉄とカルシウムを多く含むガーネットとなります。そこにクロムが混入することによってグリーン系に発色します。このクロムが多ければ多いほど、緑は濃く鮮やかな色合いとなります。

先ほどロシア以外の、ナミビアやマダガスカルの産地についてご紹介いたしましたが、ウラル地方で採掘されたデマントイド ガーネットが最もクロム含有量が多く、美しく濃いグリーンを発色させています。そのためウラル産の個体はえてして高額になります。
色の他デマントイド ガーネットを特徴づけるのが、そのキラキラとした輝きです。

これは、屈折率が非常に高いため。屈折率はダイヤモンドの評価軸などでもしばしば用いられますが、光を宝石に当てた時、その光が宝石内部で屈折する強さを指します。この屈折率が高いほど光が石内部であちこちに照射され、その中で光が増量し、屈折率を持つ石ならではのキラキラとしたまばゆい輝きを放ちます。

さらに、分散率(ディスパーション)の高さもこの輝きを一段と美しくしています。ディスパーションとは石内部で屈折を繰り返した光が、分解されて虹色のような光(ファイア)を発する現象を指します。このファイアが、デマントイド ガーネットはダイヤモンドと引けをとらないように強く美しいものと言われています。
ちなみにウラル産のクロム含有量が多く緑が濃い個体の方は評価が高い、と申し上げましたが、グリーンが黄色みを帯びた個体の方がファイアが強く、こちらの方が好み、と言う方もいらっしゃいます。

華麗なるロシア王朝の秘宝。デマントイド ガーネットとは?
 

④ ホーステールインクリュージョン

デマントイド ガーネットならではの特徴があります。
全ての個体に言えることではないのですが、デマントイドガーネットには特有のあるインクルージョンが価値を持っています。
インクルージョンは内包物とも呼ばれるように、天然石に入ってしまった不純物や気泡、クラック(ひび割れ)などを指し、少なければ少ないほど良いとされています。
しかしながらデマントイド ガーネットには、内包されていると高額査定となるインクルージョンがあります。それは、「ホーステール・インクルージョン」と呼ばれるものです。
ウラル産のデマントイド ガーネットにのみ見られる内包物で、アスベストが細かく放射線状に石内部に入ったものです。まるで馬のしっぽの毛並みがなびくようである、ということからホーステールの名が冠されました。

ヨーロッパ各国では馬術は紳士のたしなみです。そのため、馬を愛する貴族たちから、こぞってホーステールの入ったデマントイド ガーネットが求められました。
その流れを汲み、今なおホーステール・インクルージョンはデマントイドガーネットの評価を上げる大きな要素となっています。
とは言えインクルージョンが入っていると、どうしても透明感や輝きは落ちてしまいますので、好みが分かれるところではあるでしょう。
なお、デマントイド ガーネットはダイヤモンドのような輝きを持たせるために、カットを施した方が良いとされていますが、硬度はあまり高くありません。
そのため巧みなカットが施されたものは熟練のカッターが手掛けたことを意味しており、極上のものはダイヤモンド以上の輝きを放ちます。こういった個体は、当然ながら高額査定の対象となります。

また、産出される石のほとんどが1カラット未満で、カットがなされるとさらに小ぶりになってしまいます。そのためカラット数が大きいものほど高額となります。
エンハンスメントやトリートメントについては、天然のデマントイドガーネットにおいては基本的にはなされておらず、無処理とされています。
ただし、フラクチャー(割れ目)やキャビティ(穴)充填処理を施してある場合もありますが、こちらは色や美しさを引き出すというよりも、強度維持が目的です。

⑤ デマントイド ガーネットと似た石

デマントイド ガーネットと似た石として、しばしばツァボライトが挙がります。
ツァボライトもまたグリーンガーネットの一種なのですが、成分による種類分けでは「グロッシュラー」に当たります。
グロッシュラーは主成分がカルシウムとアルミニウムで、そこに微量のバナジウムとクロムが混入することで独特の緑を発色するようになります。
グロッシュラー自体の発見はシベリアですが、1975年頃、ケニアのツァボ国立公園で発見された緑がかったグロッシュラー ガーネットをツァボライトと呼ぶようになりました。ちなみに名づけ親はティファニーです。

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2. デマントイド ガーネットの買取相場

デマントイド ガーネットは状態やグレードによっても大きく値段を変えますが、その稀少性から極めて高い買取額となっています。
特に前述の通り1カラットを超える原石が少なく、1カラット以上のルースともなると十万円以上の値付けがなされます。
相場の目安としては、濃いグリーンでクラリティが高く、それでいてホーステールインクリュージョンがしっかりと見られる最上級の個体は0.5カラットでも2万円~3万円、1カラット以上15万円~20万円程となります。

また、前述の通りカラットが大きければそれだけ価値が上がり、3カラットともなると存在するだけでも貴重なサイズとなりますので、高品質であれば100万円程でお買取りさせていただくものもございます。

また、一緒に使われている貴金属や貴石は、デマントイド ガーネットの査定にプラスしてその分の価値が査定額に上乗せされる形となります。
デマントイド ガーネットをお持ちの方は、ぜひ一度査定だけでも出してみてください。状態を見て、しっかり適正価格を出させていただきたく思います。

なお、当店GREEBERではホームページ上での簡単査定やLINEで画像と商品についての情報を送っていただくだけで査定額をご提示するサービスを行っております。気軽にご利用してみてくださいね。

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3. デマントイド ガーネットの買取査定ポイント

最後に、デマントイド ガーネットの売却時、買取店がチェックしている査定ポイントをご紹介いたします。

① カラー

デマントイドガーネットに大切な要素。
よく流通している赤色ガーネットとは全く違った緑を発色していることが、デマントイドガーネットのアイデンティティです。
個体によって緑~淡い黄緑までありますが、茶色味が少なく、はっきりと純粋な緑色が高い評価を得ています。
また、明度・彩度の高い、鮮やかな緑が好まれます。

② クラリティと産地

「デマントイド」の名が冠されているように、キラキラとした輝きが特徴の当ガーネットは、クラリティの高いものほどその輝きが強くなることは前述の通りですが、ホーステール・インクルージョンがきれいに入った個体に関しては、価値が高まります。透明度などを大きく損なわず、それでいてはっきりと確認できる状態が良いものです。

ホーステールインクリュージョンはロシアのウラル産にのみ含有されるとされる為、確認できるだけでも産地の証明となり、アフリカ産の石よりも高額査定となります。
また、前述の通りホーステールがある石の方が良いとされているのと、それこそがウラル産のデマントイドガーネットの醍醐味である為、アフリカ産のクラリティの高い石よりも、ロシア産でホーステールによりクラリティの低い石の方が評価は高くなります。

③ テリ・輝き

テリは光沢を指します。
クラリティが高いことに加えて、上質なカットが施されたデマントイド ガーネットは、このテリと輝きが強く美しく発揮されることとなります。
テリ・輝きもまた、デマントイド ガーネットのアイデンティティと言えるでしょう。

④ カラット

産出される原石ですら1カラット未満のものが多いため、カットを施すとさらに小さくなってしまう、とお話しました。
そのためカラットが大きいほど高額査定となります。
特に1カラットを超えると、査定額は一気にアップします。

⑤ コンディション

クラリティとは別に、製品としてどのような状態かもよく見られます。
デマントイドは傷や欠けに弱いため、こういった瑕疵は査定額の減額に繋がります。一方で、良いコンディションの個体が少ないことから、丁寧に扱われてきたことがわかるキレイな状態のデマントイド ガーネットは高額査定が出やすくなります。

また、ジュエリーとして再販する場合は、一緒に使われる貴金属や貴石の状態も大きな査定対象となります。
なんにせよ、硬度の低いデマントイド ガーネットは取扱に細心の注意を払いましょう。

⑥ 鑑定書をつけよう

デマントイド ガーネットのような稀少種はもちろん、色石は鑑定が非常に難しいと言われています。ダイヤモンドやゴールド・プラチナなどと異なり明確な評価基準がないこと。加えて天然石ゆえに個体による差が大きく、真贋の見極めも熟練したプロの鑑定士でないと難しいという面があることが理由です。

そのため鑑定書をお持ちでしたら、一緒に査定に出すようにしましょう。
万が一なくしてしまった、あるいは持っていない場合は、色石の買取に実績のあるお店をお選びください。こういった店舗は色石に強い鑑定士が常駐していたり、そのノウハウが共有されていたりするので、しっかりと適切な判断をしてくれます。

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4. まとめ

デマントイド ガーネットについてご紹介いたしました。
デマントイド ガーネットはガーネットの中でもアンドラダイトに属し、その緑がかったカラーとダイヤモンドのような輝きがセレブリティを魅了し続けてきたこと。特にロシアのロマノフ王朝では、王侯貴族たちに愛されていたこと。ホーステール・インクルージョンと呼ばれる、珍しい内包物があり、高い評価となることをご理解いただけたでしょうか。

ロシア王朝の秘宝と名高いデマントイド ガーネット。その独特の美しさは、宝飾品需要の高まりとともに、ますます認知度を高めていくことでしょう。



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