ダイヤモンドの性質・歴史・価値の理由まとめてみました
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極上の輝きと圧倒的価値から、宝石の王者に位置づけられるダイヤモンド。天然鉱物の中でトップクラスの硬さから「永遠の絆」という石言葉を持ち、エンゲージリングなどでも高い人気を誇ります。
しかしながら、今ほどジュエリーとしての高い地位を確立するようになったのは、宝石の歴史の中ではつい最近であることをご存知でしょうか。では、いつ頃からダイヤモンドは価値を持つようになったのか?
また、なぜこれほどまでに価値が高いのか。そもそもダイヤモンドとはどのようなものなのか。
ここでは、改めてダイヤモンドについてまとめてみました。
1.ダイヤモンドとは
ギリシャ語で「adamas」、決して屈しない・征服されないという意味を語源にするように、ダイヤモンドは地球上の天然鉱物の中で最も硬い物質のうちの一つ。日本では金剛石と長く呼ばれ、やはり硬さを表しました。
リング、ネックレス、イヤリングなどジュエリーにおいては唯一無二の輝きを添えてくれ、ハリーウィンストンやショーメ、ヴァンクリーフ&アーペルやカルティエなど多くのブランドがハイエンドラインとして取り扱います。
しかし、その外観からは想像がつきませんが、実は鉛筆の芯などと同じく炭素から成る物質なのです。
まず、ダイヤモンドの性質と生成のされ方、そしてダイヤモンドがジュエリーとして店頭に並ぶまでについて解説いたします。
①ダイヤモンドの性質
ダイヤモンドは炭素(C)の同素体の一つで、鉛筆の芯や炭素と同様になります。この炭素が結晶化し、強く美しくなった物質がダイヤモンドです。結晶構造は8面体が基本ですが、12面体や6面体の個体も存在します。
大きな特徴は硬度が一番高い事ですが、靭性(じんせい)に関しては比較的低いという事実があります。
この硬度とは「摩擦やひっかき傷の付きづらさ」を示すモース硬度のことを表し、ダイヤモンドはこのモース硬度が宝石の中で一番硬いとされています。
対して宝石の耐久性の評価によく使われる靭性とは、ヌープ硬度と呼ばれ、落下した衝撃や、ハンマーなどで衝撃を加えた時の耐久性(硬度)の事を指しますが、ダイヤモンドはこの衝撃には弱く、強い衝撃が加わると一定方向に割れてしまいます。よって、ダイヤモンドのヌープ硬度はルビーやサファイヤ、ヒスイなどより低くなります。
また、安定性が高く薬品や太陽光などによる退色に強いこと、熱伝導率が高く触るとひんやりしていること。結晶の原子に不対電子が存在しないことから電気伝導が無いことなどが性質として挙げられます。
さらに、ダイヤモンドの「特徴」と言えば輝きですが、これは屈折率の高さによります。
これは内部での全反射が起こりやすいことを示し、ダイヤモンドに入った光が鋭く折れ曲がりキラキラとした反射に繋がるのです。
この輝きはカット及び研磨によって大きく左右され、シャープな表面で光を反射することでさらに相乗効果を生みます。
なお、これだけシャープなカットが可能なのは硬度が高いためで、スパッと切れることに由来します。
②ダイヤモンドの生成
ダイヤモンドという鉱物は、その詳細な生成時期や過程は未だにわかっていないことも多い宝石です。
原石が形成されたのは16億~5万年前の昔。火山活動が活発だった地球の地下マントルの中で生まれ、マントルの高温高圧下で炭素から変化していきました。のちの地殻変動によってマグマとともに地表に噴出したことがきっかけで、人々はダイヤモンドを手にできるようになります。
しかしながらダイヤモンドはこのマントル起源の火成岩・キンバーライトにしか含まれません。
キンバーライトは現在の地球の中でも最も古い時代に形成された地質のため、このラインが貫入し、かつそれが保存されている場所にしか存在しません。
現在産出される国はロシアを筆頭にボツワナ、コンゴ、オーストラリア、南アフリカ共和国、カナダが上位6か国に挙げられ、世界シェアの9割を占めます。
なお、日本は地質構造が新しくダイヤモンドは産出されないと言われていましたが、2007年に愛媛県でごく微量のダイヤモンドの結晶が見つかりました。
③ダイヤモンドがジュエリーとして店頭に並ぶまで
ダイヤモンドが原石として採掘されてからジュエリーになるまでには多くの過程を踏まなくてはなりません。
まず、原石採掘。ダイヤモンド原石の採掘方法はいくつかあります。
鉱床の上にある土を取り払う露天採鉱や鉱脈の中で掘っていく地下採鉱などで産出されますが、その際採れた原石は輝きはなくただの鉱物に過ぎません。
原石は熟練した職人たちによって大きさや透明度などを基準に選別されます。結晶の形や不純物、亀裂の有無などをルーペを使って入念に検査し、ジュエリーとなる石、工業用となる石に分かれるのです。
その後、加工や劈開(へきかい、不純物や破損部を取り除くこと)を経て、いよいよカット・研磨(ポリッシュ)へと進みます。
カット・研磨技術によってダイヤモンドの品質は大きく左右され、これもまた熟練した職人たちによって手掛けられますが、実は、ただカットするだけなら比較的容易です。
研磨は長いこと人々の課題でしたが、15世紀にダイヤモンドをダイヤモンドの粉で磨くという手法が生み出されてからは、ダイヤモンドに関する技術が飛躍的に向上しました。ブリリアントカットやマーキーズカットなどのカット手法のバリエーションが増えたのもこの時代以降です。
ちなみにカットの際に出たかけらも無駄にはなりません。メレダイヤと呼ばれ、メイン宝石を装飾するジュエリーとして活用されます。
なお、現在までに人手によってカット・研磨されたジュエリー用ダイヤモンドは、全てを集めても2階建てバス1台ほどだと言われます。
さらに、良質な1カラット(約0.2グラム)を得るために掘り出される土は平均して250トンにも及ぶとも聞きました。
ダイヤモンドの稀少性と、それを訴求してきた人々の情熱には、驚きを禁じえません。
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2.人々とダイヤモンドの歴史
次に、人々とダイヤモンドの歴史についてご紹介いたします。
①いつ見つかったのか
ダイヤモンドと人々の歴史にもまた諸説ありますが、紀元前4世紀頃にインドで最初に見つかったと言われています。川辺にものすごく硬い石が転がっていて、さらに結晶がキラキラと美しかったことから、インドではお守りとして尊ばれていたようです。
最も古い記述は旧約聖書の出エジプト記で、紀元前1200年頃と思われる描写でダイヤモンドの名が出てきました。その頃にはインドで産出されたダイヤモンドが広く親しまれていたのでしょう。
しかしながら、硬すぎるゆえ当時は研磨できる技術はありませんでした。この頃はインドのみが産出地と考えられていたため稀少性はありましたが、原石の状態ですのでさほど美しくは見えません。
宝石としては扱われず、ダイヤモンドが今のようにジュエリーとして重宝されるようになったのはここ300年ほどのことです。
では、なぜこれほどまでに価値を持つようになったのでしょうか。
②ダイヤモンドが重宝されるようになった理由とは?
ダイヤモンドが原石とは異なる輝きを獲得するためには、表面を磨き光の反射率を上げる必要があります。
15世紀半ば、ベルギーで研磨(ポリッシュ)技術が発明されました。ダイヤモンドの粉でダイヤモンドを磨く、という手法です。
これによってダイヤモンドは宝石としての輝きを備えることとなり、ジュエリーとして普及していきました。
また、ダイヤモンドと人々の歴史にカット技術の話は欠かせません。
ダイヤモンドは屈折率が高く、また研磨によってより美しく反射させ、極上の輝きを放ちます。この輝きはカットの仕方によって大きく異なります。現在ブリリアントカットを筆頭に、マーキーズ、トリリアント、プリンセスカットなど多彩な手法が存在しますね。
このように、更なる輝きを引き出すため、様々なカット・研磨方法が編み出されてきたのです。
17世紀になってブリリアントカットの原型が編み出されると、瞬く間に宝石の王者としての地位を確立しました。
その後ブラジルや南アフリカなどで新たに鉱脈が発見されたことも、ダイヤモンドを世界中に広めることとなったきっかけの一つと言えるでしょう。
しかしながら、この時点ではまだルビーやエメラルドほどの高価な宝石ではありませんでした。
今ほどの価格になったのは、18世紀~19世紀にかけて思うようにダイヤモンドが採れなくなってきたこと。
そしてデ・ビアス社が設立されたことに大きな要因があります。
③ダイヤモンドの価値・価格が高くなった理由とは?
「ダイヤモンドが採れなくなってきた」と前述しましたが、実は19世紀半ばに南アフリカ大陸で大鉱脈が発見されます。
採掘量の減少に悩まされていたダイヤモンド産業にとっては渡りに船かと思いきや、今度は採れすぎて供給量が多くなり、ダイヤモンドの価値が低くなってしまうという懸念が出てきたのです。
そこでセシル・ローズ氏がこの窮状を打開するため、デ・ビアス鉱業会社を設立します。
彼はもともと坑夫でしたが、掘り当てたダイヤモンドで作った資金を基に起業し、ほぼ全世界のキンバリーのダイヤモンド鉱山を支配下に置きます。
そこで採れたダイヤモンドの9割を独占し、供給量を調節するようになったのです。
供給コントロールによって、「ダイヤモンドは稀少だからあまり出回らない」といったイメージを植え付け、価値を維持することに成功しました。
セシル・ローズ氏の死後、新たな鉱脈が発見され一度はデ・ビアス社の支配力は衰えますが、巧妙に業界を支配していき、今なお世界のダイヤモンド原石において4割のシェア率を誇ります。
現在、各地で採れたダイヤモンド原石をデ・ビアス社が一度集め、供給量を決定、ダイヤモンドの価値や価格が下落しないようにコントロールされています。
デ・ビアス社は同時に、ダイヤモンドを「永遠」や「愛」を象徴するものとして、マリッジ・エンゲージリングの理想であることを宣伝し始めます。
有名人や映画など、メディアを利用したマーケティングは功を奏し、今や誰もが結婚とダイヤモンドを密接に考えていることでしょう。ダイヤモンドへの憧れや需要は、人類とダイヤモンドの歴史上最も高まっているのではないでしょうか。
「ダイヤモンドは永遠の輝き」という有名すぎるコピーも、デ・ビアス社によるものです。
つまり、デ・ビアス社が供給量を調節して「ダイヤモンドは稀少であるがゆえ高価」というイメージを広めたこと。さらにマーケティングによって世間の需要を巧みに高めたことが、ダイヤモンドの現在の価値・価格を作り上げていると言えるでしょう。
もちろんダイヤモンドそのものに魅力がなければできなかったことではあります。
実は、ダイヤモンド産出国は比較的多く、グレードにこだわらなければそこまでの稀少性はない、とも言われています。
デ・ビアス社の戦略や、世界的なカルテルには賛否両論が語られてきました。
確かに自由経済において、独占は不健全なものです。
しかしながら、もしダイヤモンドに今ほどの価値がなければ、一部の国や富裕層に留まりここまで一般的にならなかったかもしれません。リングやネックレス、ジュエリーなどのセッティング方法やデザイン、そしてカット方法も向上しなかったかもしれません。
何より、デ・ビアス社が供給コントロールをしなくては、各地でダイヤモンド乱獲が起こり根こそぎ採りつくされてしまっていたかもしれません。
今私たちがダイヤモンドジュエリーを楽しむことができているのは、デ・ビアス社による功績が小さくないと言えるでしょう。
3.ジュエリーとなるダイヤモンドのレベルとは
このように様々な自然や人の手に触れてジュエリーとなるダイヤモンド。
しかしながら、ダイヤモンドはその硬さゆえ工業製品となることもあります。
最後に、工業用ではなくジュエリーとなるダイヤモンドとはどのようなレベルなのかを解説いたします。
①ジュエリーとなるダイヤモンドのレベルとは
ダイヤモンドの原石は、熟練した職人たちによって、ジュエリー用と工業用とにまず選別されます。
実はあまり知られていませんが、ダイヤモンドは硬度が高いため、石材やコンクリートなどを切断するダイヤモンドカッター、研磨機、工具のパーツなどに用いられています。むしろ、ジュエリー用途よりも、工業用に回されるダイヤモンドの方が圧倒的に数が多くなります。
ジュエリー用となるには、少なくとも以下の要件を満たしていなくてはなりません。
・カットと研磨がしやすい個体である
・黄色や褐色を帯びすぎていない
・インクルージョン(内包物)が多すぎない
それぞれを解説いたします。
②カットと研磨がしやすい個体である
まず、一定の大きさのないものはジュエリーには向きません。カットや研磨ができないためです。
また、最小限のカットで輝ける石がジュエリー用として非常に最適とされています。
なぜなら、カットをするごとにダイヤモンドのカラット(重さ)は小さくなり、価値が落ちてしまうためです。
冒頭でダイヤモンドの結晶は8面体が多いと述べましたが、正8面体の結晶が最もカットに向いており、カットの際に出たメレダイヤも回収しやすくなります。
③色味とインクルージョン
ダイヤモンドは鉱物なので、黄色や褐色などを帯びているものがほとんどです。
窒素やホウ素などの不純物、気泡やクラック(亀裂)が多いものもあります。
こういった色味が悪かったり濁りがある品質のダイヤモンドはジュエリーには向きません。
反対に無色透明に近かったり、肉眼ではほとんど確認できないレベルのインクルージョンであればジュエリー用に向いていると言えます。
ちなみに、ブルーやピンク、レッドやグリーンなどに色づいたダイヤモンドはファンシーカラーダイヤモンドと呼ばれ高い価値を持ちます。
まとめ
ダイヤモンドとはいったいどのようなものなのか。いつ頃から有史に登場し、いつ宝石の王者として高い価値を持つようになったのかをご紹介いたしました。
ダイヤモンドの輝きを引き出すため、そしてこの輝きを守るための人類の叡智に少し触れられたように思います。
とは言えダイヤモンドの世界は本当に奥深く、改めて語ろうと思うと枚挙にいとまがありません。
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