金とは何か?その特性や歴史、価値変動を徹底解説!
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「金」と聞いて、何を思い浮かべますか?
リングやネックレスなどに代表されるゴールド地金のジュエリー。貨幣やインゴット(バー、延べ棒)などの資産。
あるいは金字塔や時は金なりといった慣用句など、様々なケースで回想することができます。
いずれも「高い価値を誇る」ことが共通しており、これは万人の知るところ。
では、なぜ金はこれだけ周知され、このように高い価値を持つかをご存知でしょうか。
そもそも金とは何なのか、人々が金に魅了され始めたのはいつの時代からなのか。改めて考えたことのある方は少ないように思います。
ここでは、そんな知っているようで知らない「金」にまつわる歴史や概念、価値の理由を徹底解説いたします。
1.金とは何か?
まず、ひとくちに「金」といっても、どういったものを指すのか、金はどのような特性を持つのかをご説明いたします。
金(ゴールド)とは元素記号Au、原子番号79の金属です。Auはラテン語の「光るもの」aurumに、英名のゴールド(Gold)はサンスクリット語の「輝く」にちなんだと言われています。
金の特性はなんといってもその輝き。
リングやネックレス、イヤリングなどジュエリーの地金に多く使用されますが、シーンや年代問わずゴージャスさを演出してくれます。
この輝きの秘密は金が光の中の青だけを吸収し、その他の色は反射する、といった特性に由来します。
さらに、金の展延性も他の金属にはない特性でしょう。
金は最も薄く伸ばせる金属で、1グラムで約3000メートルもの長さの金糸や、さらに極薄にした金箔を加工することも可能です。このこともリングやネックレスなど多彩なデザインを形成するのに大変適していると言われています。
耐酸化性が高いため他の金属に比べ錆びづらく経年による退色・腐食が極めて少ないため、「不変の輝き」を持つこともまた大きな特性であり魅力です。
また、金そのものは非常にやわらかく傷ついたり変形しやすいため、金の融解性を活かし金パラジウムや銀、銅などの割り金(わりがね)を配合して合金にします。
そうすることで普段使いに適した硬さに調整することが可能なのです。
ちなみにこの割り金の種類によって本来の金色とは異なる色相を持たせることもできます。
ホワイトゴールドやイエローゴールド、ピンクゴールドなどが有名ですね。
この三つのカラーが三連となったリングで有名なのがカルティエのトリニティや、ブルガリのトゥボガスシリーズなどですが、金そのものの輝きとはまた一味違った美しさを備えます。
なお、金の用途はリングやネックレス、イヤリングなどのジュエリーに留まらず、貨幣やインゴット(バー、延べ棒)など資産として、また、導電・熱性を活かした半導体ワイヤーなど工業用として、と幅広いケースで使用されています。
これらは金の持つ不変性と融解性ゆえ、熱で溶かせば全てがまた別の金となる、つまり半永久的にリサイクルが可能です。
2.金の歴史
金は金属の中でも貴金属と呼ばれ、まさに貴いものとして高い価値を持ち続けてきました。
では、人々はいつから金に魅了されてきたのでしょうか。
ショーメやカルティエ、ヴァンクリーフ&アーペルなど、金製品に定評のある老舗ブランドはここ150年~180年前に創業しているからそのくらいの頃からかな?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、なんと人々と金の歴史たるや紀元前の昔にまで遡るのです。
①人類と金の歴史
人類が初めて発見した金属は金と言われています。そう、文明の始まりから魅了してきたと言っても過言ではありません。
当時は加工技術が無かったためやわらかさが道具としては向かず、一般的には装飾として用いられていたようです。
古代エジプトではファラオの墓の供物として特別な力を持ち、紀元前1300年頃から既に高度な金採掘技術や金純度の測定技術を発展させていたと言います。また、貨幣としても同じく紀元前となる7世紀頃のものが確認されていて、既に国際通貨の役割まで果たしていました。
その後今に至るまで装飾品、貨幣、芸術などで活躍し、一度も人々の手を離れていません。
象徴的なエピソードは紀元前に始まったにもかかわらず中世に盛んとなった錬金術でしょう。
他の金属から金を生成しようとする試みで、今でこそ夢物語として語られますが、国によっては国王自ら錬金術師を頼ったものです。
錬金術の如何はさておき、常に時代の権力者たちの目が金に集中していたことが伺い知れますね。
後に迎える大航海時代はまさに金探索の命がけの船出で、18世紀初頭から始まるゴールドラッシュへと続きます。
18世紀初頭、アマゾンで砂金が採掘されたことに端を発し、その後の1848年、一人の大工がアメリカ カリフォルニアの放水路で金を発見し本格的なラッシュを迎えます。
オーストラリア、シベリア、南アフリカと続き、このゴールドラッシュによって栄えることとなった都市は少なくありません。
このように、文明の黎明期から人々の心を時に沸き立たせ時に翻弄させてきたのが金なのです。
そう考えてみると金特有の輝きに、どこか妖艶なものすら感じさせられます。
②日本人と金の歴史
もちろん日本人にとっても金は歴史的に高い価値を持ってきました。
日本では装飾品や貨幣というよりも、建築物や神社仏閣などに使用されてきたことが顕著です。
マルコ・ポーロが日本を「黄金の国ジパング」と称しましたが、ヨーロッパでは装飾品や貨幣、死者への供物がメイン。日本が贅沢に金を使っていると映ったし、実際そうだったのでしょう。
現在日本の金山はほとんど閉山していますが、実はかつて豊富な量産国だった時代がありました。
最盛期は8~15世紀で、陸奥の国(現在の岩手県~宮城県)での発見が記録に出てくる初めての金山。奥州藤原氏が誇った金色堂などは非常に有名です。
その後、佐渡や伊豆半島の土肥、九州地方など全国各地で採掘されました。
ちなみに日本の金は枯渇したと思っている方もいらっしゃいますが、1980年代に熊本県と鹿児島県の間にある菱刈で金鉱山が発見され、現在も操業しています。その産出量は年間6~7トンと十分商業ベース。
ゴールドラッシュの時代ではありませんが、新たな鉱脈の発見にはどこか胸躍るものがあります。
③お金の歴史
金の歴史を語るうえで、貨幣もまた欠かせません。
先ほど紀元前から金貨が作られ国際通貨としての性格を持っていた、とお話しましたが、世界共通で価値を持つ金は貨幣制度における大切なベースでした。
それは何も金貨だけに及びません。
現代日本では中央銀行が発行する紙幣が当然のように流通していますが、これは国の信用を背景にした管理通貨制度というものです。
かつては国家にこういった後ろ盾はなく、金銀ベースの金銀複本位制度が各国でとられていました。
これは金(または銀)と貨幣を引き換えることを約束したもので、自国貨幣を金銀で保証したものです。
19世紀に銀が大量産出され価値が不安定になったことで、金本位制度が広がっていきました。
1816年にイギリスが確立し、日本でも日清戦争後に移行されています。
この制度のメリットは金で自国貨幣を保証し安定させられることですが、同時に一定量の金を保有してなくてはなりません。
そのため金産出量に大きく価値を左右されること、また国の経済に合わせてお金を調節することができないことなどから、1929年の世界大恐慌によって金本位制は崩壊に陥りました。
今では金本位制度は終了していますが、不安定な情勢が続く国の人々は通貨より金に重きを置いており、より大切な資産としての意味合いが強くなります。
3.なぜ金はこれほどまでに重宝されるのか?
古くから貴金属として重宝されてきた金。
その理由はもちろん金が持つ輝きもありますが、稀少性もまた大きいところを占めます。
金は鉱石から採取されますが、鉱石1トンに対してわずか5グラムほどしか産出されません。
人々が金を求めて大海原に帆を進めていた歴史を見ると、産出量問題もまた長年の悩みだったのでしょう。
様々な資産形態の中で金は今後も安定している、という話を聞いたことはありませんか?
先ほど国内での新たな鉱脈発見のお話をいたしましたが、そもそもの産出量の低さもあって年々減少傾向にあり、産出量が需要を大きく上回る可能性が将来的に低いためそう言われます。
しかしながら金の不変性・リサイクル可能な半永久性から、これまで産出した8割以上のものが現存しているとも言われています。
ちなみに貴金属の定義として、こういった稀少性、国際的な流通性や普遍性、経年による劣化がない不変性を指すことがあります。
これは金だけに留まらず銀イリジウムやプラチナ、金パラジウムやロジウムなど、リングやネックレスなどジュエリーによく使用されているおなじみの顔ぶれが並びます。
4.金の価値はどのように決まるか
金はいつの時代も高い価値を誇ってきましたが、常に一律の価格ではありません。
金の価値・価格は、
・金の純度
・需要と供給
・為替相場
この3つが大きく関わってきます。
それぞれをご説明いたします。
①金の純度
K24とかK18とかいう符号を金製品で見かけたことはありませんか?
これは金の純度を示すもので、カラットKaratの略称です。品位と称することもあります。
金はやわらかいため合金にして硬さを調節しますが、この中の金の割合・純度が高ければ高いものほど価値を持ちます。
K24は金純度99.99%のほぼ純金、インゴット(バー、延べ棒)などの資産として、また一部の国での金貨としてが主な用途。
K22やK18と純度が下がるとジュエリーや高級時計などにも使用され、実用に適した堅牢性を備えますが、金としての価値は下がることとなります。
金製品にはこの純度が多くの場合で刻印されているので、大きな目安になりますね。
②需要と供給
金が高い価値を持つのは稀少性、つまり供給量の少なさにあります。
前述のように、人々の大きな需要を上回るほどの産出が見込める可能性は将来的に見てもかなり低いでしょう。
金の美しさへの需要はもちろんですが、「金の価値」への需要が高い、という理由があります。
世界的に強い円が流通している日本ではあまり実感がありませんが、情勢不安な国の人々は自国通貨を信じず、金という安定した資産を手に入れようとします。
これは世界情勢や景気が不安定な時が最も顕著で、需要が供給を大きく上回り金の価値・価格を高騰させます。
金を「不確実な時代における安全資産」とする考え方は、同時多発テロやリーマンショックが発生した2000年代に大きく広まりました。
もちろん需要が落ち着き金の価値・価格が下がることもあります。
それは、世界景気が好調な時。
現在日本を始めリーマンショックから立ち直り景気を回復させる国が増えたことから、金の値動きは安定したものとなりつつあります。
③為替相場
金相場はドル建てのため、為替レートの影響も考慮しなくてはなりません。
日本国内でも金採掘がまた始められようとしていますが、やはり現在は輸入がほとんど。そのため円安だと金価格は上昇し、円高だと下落するようになります。
他には現物そのものの価格に、保険料が輸送料が加算され、最終的に日本国内での金価格が決定する事もあります。
④今の金の価格を知るためにはどうすればいいの?
金そのものの純度の他、需要と供給(産出量)、為替相場などが金の価格を決めるお話をいたしました。
そうは言っても一般の方々が今の価格を見極めることは大変難しいと思います。
実は、貴金属買取店では、「本日の金の買取価格」を毎朝決めています。大幅に変動した場合は、日に何度か更新することも。
グリーバーでは、ホームページ上に「本日の金・プラチナお買取り価格」として掲載・更新しています。ぜひ一度ご確認ください。
5.金取引とはどういったものか
最後に、いかにも金投資!といったお話をします。
それは金取引、金市場といった、名前の通り金の売買を行う場所についてです。
金は換金性があるため、金の売り買いをする専門の取引所が世界各国に存在します。
こういった取引はインゴット(バー、延べ棒)が対象と思われがちですが、喜平ネックレスやコインをペンダント状にしたものなど地金であれば問題なく換金できます。
大規模取引においてはメイン市場はロンドン、香港、スイスのチューリッヒ、ニューヨークの4大市場。
規模の大きさはニューヨークが随一ですが、最も歴史が古いのはロンドンで、1571年設立の王立取引所に端を発します。
現在はドル建てですのでニューヨークの取引所で発表される取引価格がその日の世界水準となりますが、この価格を大きく左右するのが実はロンドン市場。1919年9月12日より5社のディーラーがロスチャイルド社の「黄金の間」に集まって金価格を決定してきました。
ロスチャイルドは撤退しましたが5社の輪番で今なお行われており、現在は日に2回価格決定が出されます。これをフィキシングプライスと呼びます。
もちろん取引所は日本にも存在します。
東京商品取引所(TOCOM)に集約され金専門の市場ではありませんが、金の取引量は大きく、ニューヨーク、ロンドンと並び3大市場と称されることもあるようです。
取引には「現物取引」と「先物取引」があります。
現物取引は売り手と買い手の間で金地金の価値を決定し、現金引換えにて取引する手法のこと。
一方で先物取引は売り手と買い手が一定期間後の将来に現物と代金の取引を約束するものです。
地金であれば業者でなくても取引に参加することはできますが、金地金が500グラム未満であった場合、
ほとんどの会社でバーチャージという手数料を取られます。
一般の貴金属買取業者であればこの点は気にする必要はありません。
また、宝石がセッティングされた金地金のジュエリーも取引所では扱えないので注意が必要です。
金そのものの重さがわからないため、買い取ってもらえないのです。
ジュエリー分野に強い買取店であれば金と併せて宝石の評価もしてくれるので、取引所ではなく信頼できそうな買取店に相談してみることをおすすめいたします。
まとめ
金とは何か、金の歴史や価格決定、実際の売買など、知っているようで知らない「金」について解説いたしました。
金が高い価値を持つことは周知の通りですが、これだけ長い歴史があること、そして今なお日々金の価値への注目度が高いという事実には驚かされるばかりです。
今後も安定した価値を持つであろう金ですが、世界情勢などにまつわる需要と供給や為替変動でその相場を大きく変えてくる可能性もあります。
もし金の売却をご検討でしたら、今の価値・価格などお気軽にお問合せくださいませ。